2013年6月14日金曜日

シンポジウムに行ってきました。

先日、第3回脳情報通信融合研究シンポジウム「脳科学で拓く次世代情報通信」というものに行ってきた。現在の研究者がどんなことを考えているのか、課題としているのかなどが聞けて面白かった。
印象に残っているのが、柳田先生の講演と池田先生の講演。
柳田先生は「ゆらぎ」の研究をしている方。脳は「ゆらぎ」というノイズを積極的に活用して情報処理を省エネ化しているとのこと。
具体例として、ミオシンの動きや、アメーバ細胞の動き、また脳が閃く際の脳の活動などを挙げており、これらはノイズを積極的に活用しているからこそ、効率的に情報処理ができるとのこと。ミクロレベルからマクロレベルまで階層を越えて現れるノイズこそが、情報処理の省エネ化のポイントなのではないかとのことだ。このノイズが情報処理に果たす役割について研究し、逆にそれを応用し現在の情報処理の省エネ化、エネルギー問題に貢献できないかと考えているらしい。
また池谷先生の講演はとてもおもしろいものだった。このかたは読売新聞にも記事を提供しているが、そこに掲載されている写真だと生粋の堅物文化人という印象だったが、フランクで面白い人だった。内容として印象に残っているのは、人間が感知できないものとして、赤外線や紫外線などと並列に脳の自発活動も挙げている事、失った感覚を他の感覚で代用することができるのではないかと主張していることなどでした。
パネルディスカッションのあとに参加者からの質問もいくつか受け付けていた。物理学科の人で、宇宙論との類似点などはあるかと質問している人もいた。
結局質問はしなかったのだが、私もこんなことを考えてみた。

①脳の再定義はできるか
②神経モデルのモデル自身に数学的な構造はあるか
③脳や知能と呼ばれるものを実現する他の構造はあるか

①は、実世界でも1秒の定義が変わったり、1メートルの定義が変わったりし、また数学などにおいても性質と定義を入れ替えて定義をするというようなことをよくやるが、そのようなことが脳や知能でもできるのかどうかということ。再定義できれば、③で述べるように一般化へと繋がる。
ここでさらなる疑問がでてくるが、再定義をすることの意味は一般化へつながるということ以外になにか他にどのような意味があるのだろうか。
②は、例えば可積分系とか量子群とか結晶格子のような数理物理などでやっているようなことを神経モデルでもできるだろうかという疑問。
根底を貫いている数学的原理などがあればうれしい。それが素数とかと関連してればなお面白いなどと妄想をしてみる。
③については、脳や知能をどう定義するかにもよる、という意味で①とも関連してくる。また、上手く定義できたとしてその定義を満たす構造はどのくらいあるのか。少し論理の飛躍を許してもらえれば、可能な構造がどのレベルの原理に依存しているかというのも気になる。多元宇宙論で考えられているように、可能な物理法則と対応しているのか、もっと根元的に可能な論理と対応しているのか。

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